はじめに|「東京だから安心」は、本当に続くのか
結論から言えば、東京も人口減少の流れからは逃れられません。
東京都の将来推計を見ると、特別区においても、2045年まで人口増加が続くと予想されているのは、
- 千代田区
- 中央区
- 港区
- 文京区
- 渋谷区
の5区のみです。
それ以外の区は、将来的に人口減少へ転じると予測されています。
本記事では、あえて「人口統計」という視点だけに絞って整理しています。
しかし、本来不動産を考える上では、
- 災害リスク
- 金利
- 修繕費
- 建築コスト
- 空室率
- 税制変更
など、さらに多くの不確定要素があります。
こうしたことを踏まえると、
不動産の購入とは、想像以上に難しく、冷静さが求められる行為だと感じます。
特に住宅は、「今欲しい」「ここに住みたい」という感情が強く入りやすい。
しかし本来、不動産は感情だけで判断できるほど単純なものではありません。
だからこそ重要なのは、
👉 「上がるかどうか」
ではなく、
👉 「想定が外れても耐えられるか」
という視点だと思っています。
私自身は、不動産を「終の棲家」というより、ある種の“消耗品”に近いものとして考えています。
もちろん、住む意味や価値を否定するつもりはありません。
ただ、不動産は購入するタイミングや社会状況によって、結果が大きく変わります。
そして20〜30年という長期で見れば、不確実性はかなり大きい。
だからこそ私は、
👉 一つの国
👉 一つの通貨
👉 一つの不動産
に依存しすぎないという意味でも、インデックス投資を重視しています。
人口が増え、経済が成長する地域や国に、広く分散して投資できるからです。
もちろん、不動産が悪いと言いたいわけではありません。
ただ、「東京だから安心」「特別区だから大丈夫」という前提だけで考えるには、今後の不確実性はあまりにも大きい。
本記事では、人口統計をもとに、その現実を整理していきます。
なぜ「東京は大丈夫」という言葉が危ういのか
不動産投資の話になると、よくこんな言葉を聞きます。
「東京は人が多いから大丈夫」
たしかに、数字だけを見るとそう思いたくなります。
東京都の人口は、約1,430万人。
男性が約700万人、女性が約730万人と、女性の方がやや多い状況です。
ただ、この“人が多い”という事実だけで安心していいのかというと、話はそこまで単純ではありません。
実際、人口の中身を見ると変化が起きています。
- 単身世帯が増えている
- 1世帯あたりの人数が減っている
- 高齢者の一人暮らしが増えている
つまり、「人数は多いけど、構造は変わっている」という状態です。
さらに視点を広げると、日本全体は確実に人口減少の流れに入っています。
厚生労働省のデータでは、
2100年には人口が約3,800万人〜6,500万人まで減るとされています。
また、2050年前後には1億人を下回る見込みです。
では東京はどうかというと、これも例外ではありません。
東京都の資料によると、人口は
2030年ごろに約1,426万人でピークを迎え、
その後は減少に転じ、2065年には約1,231万人まで減るとされています。
ここで一度、冷静に考えてみる必要があります。
「東京は人が多いから大丈夫」というのは、
あくまで“今の話”にすぎません。
20年後、30年後まで視野を広げると、
東京も確実に人口減少の影響を受けるエリアです。
もちろん、地方と比べれば減少のスピードは緩やかかもしれません。
それでも、“減らない”わけではない。
この違いは、不動産投資を考える上ではかなり重要です。
👉 人口が減らないのか
👉 減るけど緩やかなのか
この認識の差だけで、判断は大きく変わります。
東京というと「強い市場」というイメージがありますが、
長期で見ると、その前提自体が少しずつ変わっていく可能性があります。
不動産投資は、短期ではなく20年、30年と付き合うものです。
だからこそ、「今どうか」だけでなく、
「これからどうなるか」まで含めて考えておく必要があります。
特別区ごとの人口の動き(2020年と2045年予測)
ここからは、もう少し視点を絞って「特別区(23区)」に注目してみます。
東京都が公表している将来人口のデータを見ると、
区部全体の人口は、
- 2020年:約973万人
- 2045年:約986万人
と、数字だけ見るとわずかに増えているように見えます。
ただ、この数字だけで判断するのは少し危険です。
というのも、区部の人口はずっと増え続けるわけではなく、
2035年ごろにピークを迎えると予測されています。
そのピーク時の人口は約998万人。
そこから2045年にかけて、約12万人ほど減少する見込みです。
「10年で12万人なら大したことない」と感じるかもしれませんが、
ここで重要なのは“流れが変わる”という点です。
これまでの東京は、基本的に増え続けてきました。
しかし今後は、
👉 増加 → 横ばい → 減少
というフェーズに入っていく可能性があります。
さらに区ごとに見ると、違いはもっとはっきり出てきます。
2020年から2045年にかけて、
一貫して人口が増え続けると予測されているのは、わずか5区だけです。
- 千代田区
- 中央区
- 港区
- 文京区
- 渋谷区
それ以外の区は、どこかのタイミングで減少に転じると見られています。
つまり、同じ「東京」といっても、
すべてのエリアが同じように伸びるわけではありません。
また、23区の外に目を向けると、状況はさらにシンプルです。
👉 区部以外のエリアは、基本的にすべて人口減少に入る予測です。
ここから見えてくるのは、
👉 東京=一枚岩ではない
👉 “伸びる場所”と“そうでない場所”がはっきり分かれる
という現実です。
これまでのように「東京ならどこでも大丈夫」という時代ではなく、
エリアごとの差を前提に考える必要があるフェーズに入ってきています。
不動産投資はエリア選びがすべてと言われますが、
今後はその重要性がさらに高まっていくはずです。
年齢構成から見る東京の未来
「人がいる」ことと、「支える人がいる」ことは別の話
東京は人口が多い。
これは事実です。
ただ、不動産や将来の住宅需要を考えるとき、本当に重要なのは「何人いるか」だけではありません。
👉 どの世代が多いのか
👉 その人たちを誰が支えるのか
こちらの方が、むしろ重要です。
2020年の国勢調査によると、東京都の高齢化率(65歳以上の割合)は22.7%でした。
全国平均(28.7%)よりは低いものの、東京もすでに「超高齢社会」に入っています。
ただ、ここで重要なのは“今”よりも“これから”です。
東京都の将来推計では、高齢化率は2065年まで一貫して上昇するとされています。
つまり、
👉 「東京だから若い人が多い」
👉 「東京だから高齢化しない」
というわけではありません。
東京には「2つの大きな世代」がある
東京都の人口構造を見ると、特徴的なのが「2つのボリュームゾーン」の存在です。
- 団塊世代(1947〜1949年生まれ)
- 団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)
この世代が、人口構成に大きな影響を与えています。
例えば2000年時点では、
- 団塊世代 → 50代前半
- 団塊ジュニア世代 → 20代後半
でした。
それが2020年になると、
- 団塊世代 → 70代前半
- 団塊ジュニア世代 → 40代後半
へ移動しています。
さらに2035年には、
- 団塊世代 → 85歳以上
- 団塊ジュニア世代 → 60代前半
となり、
2065年には、団塊ジュニア世代も85歳以上の層に入っていく見込みです。
つまり今後の東京は、
👉 “高齢者が増える”というより、
👉 “大きな世代全体が高齢化していく”
という流れになります。
生産年齢人口は減っていく
もう一つ重要なのが、「支える側」の減少です。
東京都の推計では、生産年齢人口(15〜64歳)は2025年にピークを迎えます。
人数は約951万人。
割合としては約66.9%です。
しかし、その後は減少に転じていきます。
一方で、高齢化率は上昇を続け、
- 2035年 → 約4人に1人が高齢者
- 2050年以降 → 約3人に1人が高齢者
という構造になると予想されています。
さらに2065年には、
- 年少人口(15歳未満) → 約24%減少
- 生産年齢人口 → 約19%減少
する見込みです。
ここで大切なのは、“人口が減る”ことそのものではありません。
👉 「支える側」が減ること
です。
2020年時点では、
現役世代 約3人で高齢者1人を支える構造でした。
しかし、2065年には、
👉 約2人で1人の高齢者を支える構造
になると推計されています。
不動産投資で本当に見るべきもの
不動産投資では、「人口が多いか」がよく話題になります。
もちろん、それも大切です。
ただ、長期で考えるなら、それ以上に重要なのは、
👉 誰が住むのか
👉 誰が家賃を払うのか
👉 誰が税金や社会保障を支えるのか
という“人口の中身”です。
人口がいても、
- 高齢化が進む
- 現役世代が減る
- 可処分所得が伸びにくい
という状況になれば、住宅需要の質は変わっていきます。
「東京だから大丈夫」という考え方は、
こうした人口構造の変化を無視している可能性があります。
不動産は、今だけでなく20年後、30年後を前提に考える必要があります。
だからこそ、“人数”だけではなく、“構造”を見る視点が重要になってきます。
税収・社会保障と住宅需要
「東京だから安心」は、本当に続くのか
ここまで見てきたように、今後の東京では、
- 高齢者が増える
- 生産年齢人口が減る
- 人口構造そのものが変わる
という流れが予想されています。
そして、この変化は、不動産市場とも無関係ではありません。
厚生労働省の『令和5年度版 厚生労働白書』によると、
年金と医療を合わせた社会保障給付費は、
2020年時点で約132兆円。
これは国内総生産(GDP)の約24.7%に相当します。
1970年時点では約4.7%だったことを考えると、
社会保障費は長期的に増え続けていることが分かります。
そして今後、高齢化が進めば、この傾向はさらに続く可能性があります。

出典:2025年 特別区職員ハンドブック 第3章 第2節 図5 社会保障給付費の推移
ここで重要になるのが、「誰が支えるのか」という視点です。
生産年齢人口(15〜64歳)が減少すれば、
- 税収
- 社会保険料
- 消費活動
にも影響が出る可能性があります。
さらに言えば、住宅を購入する中心層そのものが減っていくことになります。
つまり、
👉 「東京に人がいる」
ことと、
👉 「不動産市場が今のまま維持される」
ことは、必ずしも同じではありません。
修繕する人も減っていく
もう一つ見落とされがちなのが、建築業界の人手不足です。
人口減少に伴い、建築・設備・修繕に関わる人材も減少しています。
これは、単に「工事が大変になる」という話ではありません。
将来的には、
- 修繕費の上昇
- 工事待ちの長期化
- メンテナンス負担の増加
といった形で、不動産の維持コストそのものに影響する可能性があります。
不動産は「買って終わり」ではありません。
むしろ、本当の負担は買った後に始まります。
【職人の減少に関してはこちらの記事👇】

エリア選びは重要。でも価格が合わない
もちろん、不動産投資においてエリア選びは非常に重要です。
ただ、ここで難しい問題があります。
2045年まで人口増加が続くと予測されている特別区は、実質5区しかありません。
- 千代田区
- 中央区
- 港区
- 文京区
- 渋谷区
しかし、こうしたエリアはすでに価格が大きく上昇しています。
一方で、それ以外の区でも価格は高騰しています。
つまり現実には、
👉 人口が維持されそうな場所
→ 高すぎて買いにくい
👉 比較的買いやすい場所
→ 将来的な不確実性が大きい
という状況になっています。
しかも、2045年以降については、さらに不透明です。
東京都の推計は2045〜2065年までありますが、
日本全体では2100年に人口が3,800万人〜6,500万人まで減少すると予測されています。
そう考えると、今は人口が伸びている5区ですら、長期では人口減少の影響を避けられない可能性があります。

出典:2025年 特別区職員ハンドブック 第3章 第2節 図6 長期的な我が国の人口推移
不動産は「どう買うか」より、「どこまで耐えられるか」
ここまでを整理すると、結局こうなります。
👉 エリア選びは重要
👉 しかし価格が合わない
👉 結果として再現性が低くなる
特に20〜30年という長期で考えると、不確実性の幅がかなり大きい。
だから、不動産を考えるときに重要なのは、
👉 「どう買えば勝てるか」
よりも、
👉 「想定が外れても耐えられるか」
だと思っています。
競売の現場で見た現実
私は前職で、競売業務にも携わっていました。
その中で、破産や競売に至ったケースを何件も見ています。
もちろん、不運が重なったケースもあります。
ただ、それ以上に多かったのは、
👉 「無理な借り入れ」
でした。
実際、
「東京だから大丈夫」
「特別区だから安心」
そう考えたままローンを組み、身動きが取れなくなったケースもありました。
東京には、“東京神話”のようなものがあります。
確かに、地方と比べれば強い市場かもしれません。
ただ、それでも未来を保証してくれるわけではありません。
もちろん、条件が合えば成立する物件もあります。
しかし、その見極めは想像以上に難しい。
そして本当に怖いのは、
👉 人口減少そのもの
ではなく、
👉 「想定が外れた時に耐えられない状態」
だと思っています。
だからこそ、インデックス投資は合理的に見える
こうしたことを踏まえると、個人的には、
👉 世界経済全体に分散できる
👉 一つのエリアや国に依存しすぎない
インデックス投資の方が、一般の人には再現性が高いように感じています。
不動産は、
- 維持費
- 修繕費
- 固定資産税
- 空室リスク
など、買った後もコストが続きます。
また、人生の選択肢を固定してしまう側面もあります。
現場で強く感じたのは、
👉 多くの人が“不動産を感情で買っている”
ということでした。
本来は数字で判断すべきものを、
- 「ここに住みたい」
- 「今買わないと損」
- 「東京だから安心」
といった感情で決めてしまう。
その結果、大きく崩れていくケースも、実際に存在していました。
だからこそ私は、
👉 「買えるか」ではなく
👉 「耐えられるか」
を基準に考えることが重要だと思っています。
さらに東京都では、空き家数自体も増加しています。
人口減少だけでなく、“供給そのものが増えている”という視点も、不動産を考える上では重要です。
【『東京都』と『特別区』の空き家に関する記事はこちら👇】

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