不動産市況において、特別区の人口統計を用いて、将来予想と20年から30年でみた不確実性—特別区でも安心できない理由

目次

はじめに|「東京だから安心」は、本当に続くのか

結論から言えば、東京も人口減少の流れからは逃れられません。

東京都の将来推計を見ると、特別区においても、2045年まで人口増加が続くと予想されているのは、

  • 千代田区
  • 中央区
  • 港区
  • 文京区
  • 渋谷区

の5区のみです。

それ以外の区は、将来的に人口減少へ転じると予測されています。

参照:推計人口資料第74号 東京都男女年齢別人口の予測 第1-1表 区市町村別将来人口 ―総数—


本記事では、あえて「人口統計」という視点だけに絞って整理しています。
しかし、本来不動産を考える上では、

  • 災害リスク
  • 金利
  • 修繕費
  • 建築コスト
  • 空室率
  • 税制変更

など、さらに多くの不確定要素があります。


こうしたことを踏まえると、
不動産の購入とは、想像以上に難しく、冷静さが求められる行為だと感じます。

特に住宅は、「今欲しい」「ここに住みたい」という感情が強く入りやすい。

しかし本来、不動産は感情だけで判断できるほど単純なものではありません。


だからこそ重要なのは、

👉 「上がるかどうか」

ではなく、

👉 「想定が外れても耐えられるか」

という視点だと思っています。


私自身は、不動産を「終の棲家」というより、ある種の“消耗品”に近いものとして考えています。

もちろん、住む意味や価値を否定するつもりはありません。

ただ、不動産は購入するタイミングや社会状況によって、結果が大きく変わります。

そして20〜30年という長期で見れば、不確実性はかなり大きい。


だからこそ私は、

👉 一つの国
👉 一つの通貨
👉 一つの不動産

に依存しすぎないという意味でも、インデックス投資を重視しています。

人口が増え、経済が成長する地域や国に、広く分散して投資できるからです。


もちろん、不動産が悪いと言いたいわけではありません。

ただ、「東京だから安心」「特別区だから大丈夫」という前提だけで考えるには、今後の不確実性はあまりにも大きい。

本記事では、人口統計をもとに、その現実を整理していきます。


なぜ「東京は大丈夫」という言葉が危ういのか

不動産投資の話になると、よくこんな言葉を聞きます。
「東京は人が多いから大丈夫」

たしかに、数字だけを見るとそう思いたくなります。

東京都の人口は、約1,430万人。
男性が約700万人、女性が約730万人と、女性の方がやや多い状況です。

ただ、この“人が多い”という事実だけで安心していいのかというと、話はそこまで単純ではありません。

実際、人口の中身を見ると変化が起きています。

  • 単身世帯が増えている
  • 1世帯あたりの人数が減っている
  • 高齢者の一人暮らしが増えている

つまり、「人数は多いけど、構造は変わっている」という状態です。

参照: 「東京都の人口(推計)」の概要(令和8年4月1日現在)総 務 局


さらに視点を広げると、日本全体は確実に人口減少の流れに入っています。

厚生労働省のデータでは、
2100年には人口が約3,800万人〜6,500万人まで減るとされています。

また、2050年前後には1億人を下回る見込みです。


では東京はどうかというと、これも例外ではありません。

東京都の資料によると、人口は
2030年ごろに約1,426万人でピークを迎え、
その後は減少に転じ、2065年には約1,231万人まで減るとされています。

参照:2050東京戦略 附属資料 東京の将来人口 02 東京都の将来人口及び世帯数の推計 3年 齢階級別人口の推計


ここで一度、冷静に考えてみる必要があります。

「東京は人が多いから大丈夫」というのは、
あくまで“今の話”にすぎません。

20年後、30年後まで視野を広げると、
東京も確実に人口減少の影響を受けるエリアです。

もちろん、地方と比べれば減少のスピードは緩やかかもしれません。
それでも、“減らない”わけではない。

この違いは、不動産投資を考える上ではかなり重要です。


👉 人口が減らないのか
👉 減るけど緩やかなのか


この認識の差だけで、判断は大きく変わります。

東京というと「強い市場」というイメージがありますが、
長期で見ると、その前提自体が少しずつ変わっていく可能性があります。

不動産投資は、短期ではなく20年、30年と付き合うものです。

だからこそ、「今どうか」だけでなく、
「これからどうなるか」まで含めて考えておく必要があります。


特別区ごとの人口の動き(2020年と2045年予測)

ここからは、もう少し視点を絞って「特別区(23区)」に注目してみます。

東京都が公表している将来人口のデータを見ると、
区部全体の人口は、

  • 2020年:約973万人
  • 2045年:約986万人

と、数字だけ見るとわずかに増えているように見えます。

ただ、この数字だけで判断するのは少し危険です。

というのも、区部の人口はずっと増え続けるわけではなく、
2035年ごろにピークを迎えると予測されています。

そのピーク時の人口は約998万人。

そこから2045年にかけて、約12万人ほど減少する見込みです。

「10年で12万人なら大したことない」と感じるかもしれませんが、
ここで重要なのは“流れが変わる”という点です。

参照:推計人口資料第74号 東京都男女年齢別人口の予測 第1-1表 区市町村別将来人口 ―総数—


これまでの東京は、基本的に増え続けてきました。
しかし今後は、

👉 増加 → 横ばい → 減少

というフェーズに入っていく可能性があります。


さらに区ごとに見ると、違いはもっとはっきり出てきます。

2020年から2045年にかけて、
一貫して人口が増え続けると予測されているのは、わずか5区だけです。

  • 千代田区
  • 中央区
  • 港区
  • 文京区
  • 渋谷区

それ以外の区は、どこかのタイミングで減少に転じると見られています。

つまり、同じ「東京」といっても、
すべてのエリアが同じように伸びるわけではありません。

また、23区の外に目を向けると、状況はさらにシンプルです。

👉 区部以外のエリアは、基本的にすべて人口減少に入る予測です。

ここから見えてくるのは、

👉 東京=一枚岩ではない
👉 “伸びる場所”と“そうでない場所”がはっきり分かれる

という現実です。


これまでのように「東京ならどこでも大丈夫」という時代ではなく、
エリアごとの差を前提に考える必要があるフェーズに入ってきています。

不動産投資はエリア選びがすべてと言われますが、
今後はその重要性がさらに高まっていくはずです。


年齢構成から見る東京の未来

「人がいる」ことと、「支える人がいる」ことは別の話

東京は人口が多い。
これは事実です。

ただ、不動産や将来の住宅需要を考えるとき、本当に重要なのは「何人いるか」だけではありません。

👉 どの世代が多いのか
👉 その人たちを誰が支えるのか

こちらの方が、むしろ重要です。


2020年の国勢調査によると、東京都の高齢化率(65歳以上の割合)は22.7%でした。

全国平均(28.7%)よりは低いものの、東京もすでに「超高齢社会」に入っています。


ただ、ここで重要なのは“今”よりも“これから”です。

東京都の将来推計では、高齢化率は2065年まで一貫して上昇するとされています。

つまり、

👉 「東京だから若い人が多い」
👉 「東京だから高齢化しない」

というわけではありません。

参照:2050東京戦略 附属資料 東京の将来人口 02 東京都の将来人口及び世帯数の推計 3年齢階級別人口の推計


東京には「2つの大きな世代」がある

東京都の人口構造を見ると、特徴的なのが「2つのボリュームゾーン」の存在です。

  • 団塊世代(1947〜1949年生まれ)
  • 団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)

この世代が、人口構成に大きな影響を与えています。


例えば2000年時点では、

  • 団塊世代 → 50代前半
  • 団塊ジュニア世代 → 20代後半

でした。

それが2020年になると、

  • 団塊世代 → 70代前半
  • 団塊ジュニア世代 → 40代後半

へ移動しています。


さらに2035年には、

  • 団塊世代 → 85歳以上
  • 団塊ジュニア世代 → 60代前半

となり、

2065年には、団塊ジュニア世代も85歳以上の層に入っていく見込みです。


つまり今後の東京は、

👉 “高齢者が増える”というより、
👉 “大きな世代全体が高齢化していく”

という流れになります。


生産年齢人口は減っていく

もう一つ重要なのが、「支える側」の減少です。

東京都の推計では、生産年齢人口(15〜64歳)は2025年にピークを迎えます。

人数は約951万人。
割合としては約66.9%です。

しかし、その後は減少に転じていきます。


一方で、高齢化率は上昇を続け、

  • 2035年 → 約4人に1人が高齢者
  • 2050年以降 → 約3人に1人が高齢者

という構造になると予想されています。


さらに2065年には、

  • 年少人口(15歳未満) → 約24%減少
  • 生産年齢人口 → 約19%減少

する見込みです。

ここで大切なのは、“人口が減る”ことそのものではありません。

👉 「支える側」が減ること

です。

2020年時点では、
現役世代 約3人で高齢者1人を支える構造でした。

しかし、2065年には、

👉 約2人で1人の高齢者を支える構造

になると推計されています。

参照:2050東京戦略 附属資料 東京の将来人口 02 東京都の将来人口及び世帯数の推計 2 人口ピラミッドの推移


不動産投資で本当に見るべきもの

不動産投資では、「人口が多いか」がよく話題になります。

もちろん、それも大切です。

ただ、長期で考えるなら、それ以上に重要なのは、

👉 誰が住むのか
👉 誰が家賃を払うのか
👉 誰が税金や社会保障を支えるのか

という“人口の中身”です。


人口がいても、

  • 高齢化が進む
  • 現役世代が減る
  • 可処分所得が伸びにくい

という状況になれば、住宅需要の質は変わっていきます。


「東京だから大丈夫」という考え方は、
こうした人口構造の変化を無視している可能性があります。

不動産は、今だけでなく20年後、30年後を前提に考える必要があります。

だからこそ、“人数”だけではなく、“構造”を見る視点が重要になってきます。


税収・社会保障と住宅需要

「東京だから安心」は、本当に続くのか

ここまで見てきたように、今後の東京では、

  • 高齢者が増える
  • 生産年齢人口が減る
  • 人口構造そのものが変わる

という流れが予想されています。

そして、この変化は、不動産市場とも無関係ではありません。


厚生労働省の『令和5年度版 厚生労働白書』によると、
年金と医療を合わせた社会保障給付費は、

2020年時点で約132兆円。

これは国内総生産(GDP)の約24.7%に相当します。


1970年時点では約4.7%だったことを考えると、
社会保障費は長期的に増え続けていることが分かります。

そして今後、高齢化が進めば、この傾向はさらに続く可能性があります。

出典:2025年 特別区職員ハンドブック 第3章 第2節 図5 社会保障給付費の推移


ここで重要になるのが、「誰が支えるのか」という視点です。

生産年齢人口(15〜64歳)が減少すれば、

  • 税収
  • 社会保険料
  • 消費活動

にも影響が出る可能性があります。

さらに言えば、住宅を購入する中心層そのものが減っていくことになります。


つまり、

👉 「東京に人がいる」

ことと、

👉 「不動産市場が今のまま維持される」

ことは、必ずしも同じではありません。


修繕する人も減っていく

もう一つ見落とされがちなのが、建築業界の人手不足です。

人口減少に伴い、建築・設備・修繕に関わる人材も減少しています。

これは、単に「工事が大変になる」という話ではありません。


将来的には、

  • 修繕費の上昇
  • 工事待ちの長期化
  • メンテナンス負担の増加

といった形で、不動産の維持コストそのものに影響する可能性があります。


不動産は「買って終わり」ではありません。

むしろ、本当の負担は買った後に始まります。


【職人の減少に関してはこちらの記事👇】


エリア選びは重要。でも価格が合わない

もちろん、不動産投資においてエリア選びは非常に重要です。

ただ、ここで難しい問題があります。


2045年まで人口増加が続くと予測されている特別区は、実質5区しかありません。

  • 千代田区
  • 中央区
  • 港区
  • 文京区
  • 渋谷区

しかし、こうしたエリアはすでに価格が大きく上昇しています。

一方で、それ以外の区でも価格は高騰しています。


つまり現実には、

👉 人口が維持されそうな場所
→ 高すぎて買いにくい

👉 比較的買いやすい場所
→ 将来的な不確実性が大きい

という状況になっています。


しかも、2045年以降については、さらに不透明です。

東京都の推計は2045〜2065年までありますが、
日本全体では2100年に人口が3,800万人〜6,500万人まで減少すると予測されています。

そう考えると、今は人口が伸びている5区ですら、長期では人口減少の影響を避けられない可能性があります。

出典:2025年 特別区職員ハンドブック 第3章 第2節 図6 長期的な我が国の人口推移


不動産は「どう買うか」より、「どこまで耐えられるか」

ここまでを整理すると、結局こうなります。


👉 エリア選びは重要
👉 しかし価格が合わない
👉 結果として再現性が低くなる


特に20〜30年という長期で考えると、不確実性の幅がかなり大きい。

だから、不動産を考えるときに重要なのは、

👉 「どう買えば勝てるか」

よりも、

👉 「想定が外れても耐えられるか」

だと思っています。


競売の現場で見た現実

私は前職で、競売業務にも携わっていました。

その中で、破産や競売に至ったケースを何件も見ています。

もちろん、不運が重なったケースもあります。

ただ、それ以上に多かったのは、

👉 「無理な借り入れ」

でした。


実際、

「東京だから大丈夫」
「特別区だから安心」

そう考えたままローンを組み、身動きが取れなくなったケースもありました。


東京には、“東京神話”のようなものがあります。

確かに、地方と比べれば強い市場かもしれません。

ただ、それでも未来を保証してくれるわけではありません。


もちろん、条件が合えば成立する物件もあります。

しかし、その見極めは想像以上に難しい。


そして本当に怖いのは、

👉 人口減少そのもの

ではなく、

👉 「想定が外れた時に耐えられない状態」

だと思っています。


だからこそ、インデックス投資は合理的に見える

こうしたことを踏まえると、個人的には、

👉 世界経済全体に分散できる
👉 一つのエリアや国に依存しすぎない

インデックス投資の方が、一般の人には再現性が高いように感じています。


不動産は、

  • 維持費
  • 修繕費
  • 固定資産税
  • 空室リスク

など、買った後もコストが続きます。

また、人生の選択肢を固定してしまう側面もあります。


現場で強く感じたのは、

👉 多くの人が“不動産を感情で買っている”

ということでした。


本来は数字で判断すべきものを、

  • 「ここに住みたい」
  • 「今買わないと損」
  • 「東京だから安心」

といった感情で決めてしまう。

その結果、大きく崩れていくケースも、実際に存在していました。


だからこそ私は、

👉 「買えるか」ではなく
👉 「耐えられるか」

を基準に考えることが重要だと思っています。


さらに東京都では、空き家数自体も増加しています。
人口減少だけでなく、“供給そのものが増えている”という視点も、不動産を考える上では重要です。


【『東京都』と『特別区』の空き家に関する記事はこちら👇】


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この記事を書いた人

現役公務員として働きながら、資産形成やキャリア形成について発信中。30代で職業訓練校を経て公務員へ転職した実体験から、「遅く始めても人生は変えられる」をテーマに、勉強法やお金の知識、安定した収入を活かした堅実な資産づくりをわかりやすく紹介しています。

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