「家の価格は上がり続ける」「不動産は持っていれば損しない」
──そんな言葉を、まだ信じている人はいませんか?
確かに、近年の不動産価格は都心部を中心に上昇を続けています。
しかし、これは一部の富裕層や投資家が取引する“限られた市場”の話。
一般の人が買えるレベルの住宅で、「価格が上がり続ける家」など存在しません。
将来的に価格が維持、あるいは上昇するのは、
せいぜい東京都心3区(港・千代田・中央)駅徒歩3分圏内のエリアなど、ごく一部の例外だけです。
それ以外の住宅は、時間とともに確実に価値を失っていきます。一時的に多少は上昇するかもしれませんが、長期的に見れば値下がりしていくと思います。
新築の家は「ほぼ100%」値下がりする
「マイホーム=資産」という時代はすでに終わりました。
多くの人が忘れがちですが、新築住宅は購入した瞬間から価値が下がります。
たとえば、私が以前携わっていた競売不動産の現場では、
新築時4,000万円で購入した戸建てが、築30年後には500万円以下というケースは珍しくありませんでした。
これは単に建物が古くなるだけでなく、
“立地に競争力がないエリア”を選んだことが主因です。
一方で、駅近・生活利便性の高いエリアの土地は、
建物が古くなっても一定の需要があり、価格下落が緩やかもしくは上昇している場合があります。
つまり、不動産の価値を決めるのは建物ではなく「場所(ロケーション)」です。
この原則を理解せずに家を買うと、数十年後に資産価値の落差に愕然とすることになります。
極端に言えば、場所さえよければ、建物が古くても何とかなります。ただ場所はどうしようもないのです。
「住みたい家」ではなく「収支が合う家」を選ぶ
住宅購入の失敗で最も多いのが、感情優先の判断です。
たとえば私の知人は、都内郊外に6,500万円の新築戸建てを購入しました。
ところが数か月後、同じ分譲地の新築販売価格が6,000万円に下がっていたのです(そもそも6,000万円は高いですが)。
なぜこのようなことが起きるのか。
新築価格には、広告宣伝費・モデルハウス建設費・販売会社の手数料など、
実際の建設費以外のコストが多く上乗せされています。
この“新築プレミアム”の分だけ、購入直後にその分の価値が下がる構造になっています。
住宅を買うときは、「住みたい」ではなく、
「将来貸せるか」「売れるか」=出口戦略を持てるかで判断すべきです。
「自分が住む前提」だけで選ぶ家は、経済的リスクが高くなります。
「35年ローン」は時代遅れの選択
かつての日本では、35年ローンは「家族の安定の象徴」でした。
しかし今の時代、それはリスクの象徴になりつつあります。35年後の世界や日本がどうなっているのか正直分かりません。
物価上昇、金利上昇、転職や副業など働き方の変化が進む中、
35年間も同じ収入を前提にしたローンを組むことは極めて危険です。
固定資産税・修繕費・住宅保険料・教育費など、
“見えない支出”は年々増えています。
結果として、「家を買って安定を得たはずが、自由を失った」
という家庭も少なくありません。身の丈に合わない金額のローンを組んでいるからです。
住宅ローンを組む際は、
「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら安全に返せるか」「生活への影響はどうなのか」を考慮すべきです。
返済比率(年収に対する返済額)は最低でも20%以下が理想ではないでしょうか。私は住居費は低ければ低いほど良いと考えています。
「家を買う=資産形成」ではない
多くの人が混同しているのが、
「マイホーム」と「投資用不動産」はまったく別物という点です。
マイホームは「支出(消費)」であり、
キャッシュを生み出す仕組みではありません。
もちろん、家を買うこと自体が悪いわけではありません。
しかし、「値上がりを期待して買う」のは危険です。
資産としての家を考えるなら、次の3点を意識してください。
- ✅ 土地の価値を見極める(路線価・用途地域・再開発動向を見る)
- ✅ 感情ではなくデータで判断する(賃料相場・取引事例価格を調べる)
- ✅ 出口戦略を持つ(「売る」「貸す」のどちらでも成立する立地を選ぶ)
住宅は“住まい”であり、“投資”ではありません。ですが、場所さえよければ、必要な時に売ることや、賃貸で貸すことはできます。ただ売却する時に立地が悪いと、ローン>売却金額担っている可能性が高いです。私の感覚として、新築で家を買っている人のほとんどはこの状態だと思います。これを避けるために感情ではなく、理屈で買うことが重要です。
まとめ|「場所」と「身の丈に合った借入」を意識すれば失敗しない
住宅価格が右肩上がりの時代は、すでに終わりました。今はあがっていますが、将来はわかりません。このままの状態が維持すると考えているのは予想ではなく、自分自身のただの希望かもしれません。
これから家を買う人に必要なのは、夢ではなく「現実を直視する力」です。
“一生上がり続ける家”は存在しません。
しかし、“価値が落ちにくい家”を選ぶことは可能です。
そのためのカギは、
- 立地(駅距離・生活利便性・再開発エリア)
- 出口戦略(貸せる・売れる)
- 無理のないローン計画(途中で払えなくなって手放す可能性が高くなります)
この3つです。
「感情ではなく収支で判断する」――
それが、これからの時代における最も堅実なマイホーム戦略です。


