不動産投資の見落としリスク|将来、最も深刻になるのは「職人の減少」

「人口減少」「賃料下落」「空き家増加」――
これらは不動産投資家がよく意識する“定番リスク”です。
しかし、私がこれまで実務や調査を通して強く感じているのは、
これから最も深刻になるのは「職人の減少」ではないかという点です。

人口が減るよりも早く、建設現場では“人手不足”が進行しています。
この構造的な変化こそ、不動産投資の将来を左右する“見えないリスク”です。


目次

建設業界はすでに「人手不足時代」に突入している

日本建設業連合会の統計によれば、
建設業就業者数は1997年の約685万人(うち技能者464万人)をピークに、
2023年には約477万人(技能者303万人)まで減少しました。

わずか25年で200万人以上の職人が消えた計算になります。

その背景には、長時間労働や3K(きつい・汚い・危険)といったイメージ、
若年層の建設業離れ、高齢化の進行などがあります。

平均年齢はすでに50歳を超え、
引退に伴う技能伝承が進まないまま世代交代が進んでいます。

つまり、今後10〜20年で熟練職人が一気に減少するという構造的な問題を抱えているのです。
このトレンドは人口減少よりも速く、不動産市場に確実な影響を与えます。


職人が減る=建設・修繕コストが上がる

職人の減少は、すぐにコスト上昇として投資家を直撃します。

労働力が減れば、当然人件費は上がります。
それに伴い、修繕費・原状回復費・リフォーム費なども軒並み高騰。

たとえば、
以前は50万円でできた原状回復工事が、
今では70万円以上かかるという見積もりも珍しくありません。

外壁塗装、屋根補修、水回り交換といった基本工事ですら、
数年前と比べて2〜3割上昇している現場が増えています(もっと多いかもしれません)。

こうしたコスト上昇は、
賃料が上がらない中での利回り悪化を意味します。

つまり、職人の減少は
「インフレ」や「金利上昇」よりも長期的かつ確実に
不動産投資の利益を削るリスクです。


空き家再生も「人手不足」で止まる時代が来る

「空き家再生投資」「リノベーション投資」といった言葉をよく耳にします。
しかし、現場では「修繕できる人がいない」ということになれば、そもそもできません。出来たとしても、人件費が高くて収支が合わなければ、そもそもやりません。

古民家や築古アパートを再生しようとしても、
基礎補強・配管交換・防水処理といった専門スキルを持つ職人が足りないのです(将来的にそうなると予想しています)。

DIYで対応するにも限界があり、
素人施工は安全性や法的適合性の問題からリスクが高いように感じます(私も電気工事やクロスくらいはやりますが、全部は時間的にも技術的にも無理です)。

結果、
修繕できない → 貸せない → 売れない → 放置される
という“負動産スパイラル”が起きています。

空き家問題の真因は「建物が古いから」ではなく、
「直せる人がいない」ことにあると言っても過言ではありません。


職人不足がもたらす「競争力の格差」

職人不足が進むと、不動産オーナー間で競争力の格差が明確になります。

定期的に修繕・メンテナンスを行えるオーナーと、
コストが高すぎて放置せざるを得ないオーナー。

この差は、時間とともに“物件力”の差として表面化します。

入居者の目線で見れば、
「きれい」「安全」「メンテナンスが行き届いている」物件が選ばれるのは当然。
老朽化が進み、汚れたまま放置された物件は、
いくら賃料を下げても選ばれにくくなります。人口減少社会では貸し手の方が優位になると思いますのでなおさら難しい気がします。


これからの不動産投資は「維持管理」がカギ

これからの不動産投資は、「買う力」よりも「持ち続ける力」が問われます。

物件の選定よりも、維持・修繕・管理をどう行うかが
投資成果を決定づける要素になっていくのです。

これらの意識があるだけで、10年後の資産状態は大きく変わります。

不動産投資は「購入した瞬間がゴール」ではなく、
維持していく力=オーナーのマネジメント能力が収益を決める時代です。

修繕する人が少なくなればコストはあがり、借り手が少なくなれば賃料が減り、利益は減ってきます。これからは不動産投資は、難しい時代になるのは避けられません。


まとめ|“職人不足”は、見えない最大の不動産リスク

不動産投資で語られるリスクは、人口減少・金利上昇・税制改正といった“マクロ要因”に注目されがちです。
もちろんそれらは重要ですが、私がより深刻だと考えているのは 「職人の減少」 です。

不動産は「買ったら終わり」ではなく、維持・補修を前提として成立する資産です。
しかし、今後職人が減り続けることで、「直したくても直せない物件」 が増える可能性があります。

どれほど立地の良い物件でも、修繕ができなければ資産価値は維持できません。
不動産を守る“人”がいなければ、不動産はただの劣化していく構造物に過ぎないのです。

つまり、これからの不動産投資で生き残るためには、
「物件を買う能力」よりも「維持し続けられる仕組み」を持つこと が重要になると考えます。


個人的には、日本の不動産の将来を考えたとき、安定した価値を保てる可能性があるのは、せいぜい 都心3区×駅近 といったごく一部のエリアです。
ただし、そういった物件は一般の投資家が買える価格帯ではありません。

不動産投資は今や市民権を得ていますが、人口が確実に減少していく国 で不動産を持ち続けることは、長期的には「壮大なババ抜き」になる可能性があると感じています。

その意味で、私は不動産よりも インデックス投資の方が将来リスクに強い と考えています。
市場全体の成長に乗れる分、人口構造に依存しにくく、長期での再現性も高いからです。


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この記事を書いた人

現役公務員として働きながら、資産形成やキャリア形成について発信中。30代で職業訓練校を経て公務員へ転職した実体験から、「遅く始めても人生は変えられる」をテーマに、勉強法やお金の知識、安定した収入を活かした堅実な資産づくりをわかりやすく紹介しています。

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