「家賃を払うのがもったいない」
「老後の安心のために、持ち家を持ちたい」
マイホーム購入を検討するとき、多くの人がこうした理由を挙げます。
その感覚は自然ですし、“家を買うこと”自体を否定したいわけではありません。
ただ、私自身は不動産業界で売買・賃貸に関わり、競売物件にも触れてきました。
宅建士・不動産コンサルティングマスター・競売不動産取扱主任者などの資格も取り、現場で色々なケースを見た中で、ひとつ強く感じることがあります。
それは、「自宅の購入は、安心になることもある一方で、人生の選択肢を狭める“固定化”にもなり得る」ということです。
ここからは、感情論ではなく、なるべく“構造”として整理していきます。
自宅購入でまず考えたい「不動産の本質」
不動産を見るとき、私が基準にしている考え方があります。
それは、ある本の中で紹介されていた言葉です。
「貸しても成立する。売っても成立する。」
少し噛み砕くと、こういうことです。
- 貸す場合:家賃収入 > 返済額+管理費+修繕などの維持費
- 売る場合:売却価格 > ローン残債+売却諸経費(仲介手数料等)
この両方が成立していれば、将来の出口が作りやすい。
逆に言えば、「貸すと赤字」「売ると持ち出し」になりやすい物件は、生活を安定させるどころか、状況によっては“重り”になってしまいます。持ち出しになってしまします。
もちろん自宅は投資物件ではありません(ですが、自宅の購入は不動産投資の側面もあります)。
ただ、“出口がない買い物”は、人生の自由度を削りやすい。ここは切り分けて考えたほうが安全です。
「今から買うのが危険」と言い切りたいわけではない。でも、前提は変わっている
正直なところ、相場の底値期(たとえば金融危機後など)に買えた人が有利だったのは事実です。
ただ、それは「今は絶対に買うな」という話ではありません。
言いたいのは、“今の前提は昔と違う”ということです。
- 不動産価格や建築コストが上がっている地域がある
- 人口減少・空き家増加が進む(地域差は大きい)
- 将来の金利・災害・修繕費は読めない
- 35年ローンは「長く払い続けられる前提」で組みやすい
つまり、購入の判断は「今の年収で買えるか」ではなく、「悪い条件が重なっても壊れないか」で考えたほうが、後悔しにくいということです。
見落とされがちな本体は「住宅ローン=自由度を固定化する契約」
住宅ローンは、毎月の支払いだけ見れば「家賃と同じ」に見えます。
でも実際は、性質が違います。
- 家賃:状況が変われば、住み替えで調整できる
- ローン:状況が変わっても、簡単に減らせない(売却や賃貸という“出口”が必要)
仮に毎月15万円の返済を長期で続けると、
転職・働き方の変更・独立・移住・介護など、人生のイベントが起きたときに、選択肢が一気に狭まります。
家を持つことが悪いわけではありません。
ただ、固定費が増えるほど「将来の行動の幅」は小さくなる。この構造は知っておいたほうがいいです。
それでも買うなら「現実的にブレにくい型」を選ぶ
もし「それでも持ち家が欲しい」と考えるなら、私は次の2つが比較的現実的だと思っています。
(あくまで考え方の例で、万人に当てはまる正解ではありません)
選択肢1:賃貸併用住宅(住みながら一部を貸す)
自分が住む部分以外を貸すことで、家賃収入がローン返済の支えになる可能性があります。
ただし、物件数が少ない/融資条件が厳しい/管理の手間/価格がピンキリがあるなど、ハードルもあります。
選択肢2:「土地値に近い」物件(下落余地が小さい)
建物価値が大きく残っていない分、価格下落リスクが比較的小さい考え方です。
ただし、再建築不可などの制約があると、出口が一気に狭まるので注意が必要です。
共通して大事なのは、“買った後に逃げ道があるか”。
家は「買った瞬間にゴール」ではなく、「買ってからの運用が始まる」ものだからです。
まとめ:自宅は「資産か負債か」ではなく、“自由を奪わない形か”で決める
マイホームは、夢や安心の象徴にもなり得ます。
ただし、買い方や条件を間違えると、長期で人生を縛る固定費にもなります。
だからこそ、私はこう考えています。
- 貸しても成立するか(出口があるか)
- 売っても成立するか(持ち出しになりにくいか)
- 最悪のケースでも生活が壊れないか
- “自由を失わない範囲”に収まっているか
「借りられるから買う」ではなく、
「買っても身動きが取れる設計か」を最初に確認する。
見栄で購入せずに、冷静に数字で判断することが、後悔しないマイホーム購入にいちばん近いと思います。
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