市場価値という言葉が曖昧な理由― 事務職が「評価されにくい構造」にあるという話

転職やキャリアの話をしていると、よくこんな言葉を耳にします。

「あなたの市場価値は高い」
「まだ伸びしろがあります」

前向きな言葉に聞こえますが、どこかふわっとしているのも事実です。
なぜ「市場価値」という言葉は、ここまで曖昧に使われるのでしょうか。


目次

労働の値段は、本来とてもシンプル

経済の視点で見ると、労働の価値は次の3つで決まります。

  • どれくらい需要があるか
  • どれくらい供給が多いか
  • どれくらい代替が効くか

これは商品と同じです。
「欲しい人が多く、できる人が少なく、代わりがきかない」ほど価値は高くなります。

本来、職業もこのバランスで評価されるはずです。


なぜホワイトカラーでは「市場価値」という言葉が多用されるのか

ホワイトカラー、特に事務職や企画・管理系の仕事には、次のような特徴があります。

  • 成果が数字で測りにくい
  • スキルの線引きが曖昧
  • 似た経歴の人が多い

たとえば、
「調整がうまい」
「資料がきれい」
「サポートが的確」

どれも大切な能力ですが、
それがどれだけ収益につながったかを外から判断しにくい。

その結果、評価はどうしても

  • 印象
  • 雰囲気
  • ポテンシャル

といった抽象的な言葉に寄っていき、「市場価値」という表現が便利に使われるようになります。


事務職が“評価されにくい”もう一つの理由

ここには、もう一つ重要な構造があります。

それは 「供給が非常に多い」 という点です。

事務職は、

  • 働き方が安定していそう
  • 体力的な負担が少なそう
  • 経験があればどこでも通用しそう

というイメージから人気が高く、志望者がとても多い職種です。

その一方で、実際の市場では、

  • DX や RPA による業務の自動化
  • 事務の集約・アウトソーシング
  • 正社員の事務職枠が大企業に集中

といった動きが進んでいます。

つまり、
「なりたい人は多いのに、ポストは増えにくい」
という状態が続いている。

この需給のズレが、
賃金が伸びにくく、競争が激しくなりやすい背景になっています。

これは個人の能力の問題というより、
職種が置かれている市場の構造の話です。

事務職は民間では供給が多く、賃金が伸びにくい構造があります。
その中で「安定と収入の見通し」を重視する人にとっては、
公務員という選択肢が相対的に現実的になるケースも多いです。


「仕事ができる」と「稼げる」は別の話

ホワイトカラーの世界では、
「仕事ができる」と言われる人が必ずしも高収入とは限りません。

労働市場で最終的に問われるのは、

どれだけお金を生み出せるか
もしくは、どれだけ代替されにくいか

という点です。

その点、技術職やインフラ系の仕事では、

  • 持っている資格
  • できる作業の範囲
  • 任せられる現場

が、そのまま報酬と結びつきやすい構造になっています。

だからブルーカラーや技術職の現場では、
「市場価値」という言葉があまり使われません。

できることがそのまま単価になるからです。


まとめ:これは“能力”ではなく“構造”の話

事務職やホワイトカラーが悪いわけではありません。
そこで真面目に働いている人が価値を持たないわけでもない。

ただ、

  • 供給が多い
  • 業務が標準化・自動化されやすい
  • 成果が見えにくい

という構造の中では、
評価や賃金が伸びにくくなる傾向がある、というだけの話です。

これは誰かを否定するための話ではなく、

自分がどんなルールで評価される市場にいるのか

を理解するための視点です。

今の自分を否定しなくていい。
急がなくていい。でも、止まらなくていい。

どんな構造の上で働いているのかを知ることは、
次の選択肢を考えるための、静かな土台になります。



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この記事を書いた人

現役公務員として働きながら、資産形成やキャリア形成について発信中。30代で職業訓練校を経て公務員へ転職した実体験から、「遅く始めても人生は変えられる」をテーマに、勉強法やお金の知識、安定した収入を活かした堅実な資産づくりをわかりやすく紹介しています。

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