第1章 30代後半のフリーターは本当に厳しいのか
職業訓練校には、30代後半のフリーターの人がいた。
本人の話によれば、これまで正規雇用で働いた経験はなく、フリーターや無職の期間を繰り返していたようだった。
一般的に考えれば、就職活動では厳しい条件である。
- 年齢
- 職歴
- 雇用形態
どれを取っても有利とは言えない。
私自身も当時、簡単に就職できるとは思っていなかった。
しかし、実際に訓練校で接してみると、世間で言われるイメージとは少し違っていた。
彼は飲み会にも参加していたし、周囲とも普通に会話をしていた。
少なくとも私が見ている範囲では、過去の経歴を理由に馬鹿にされたり、特別扱いされたりすることはなかった。
職業訓練校には様々な経歴の人が集まる。
元会社員もいれば、非正規雇用の人もいる。フリーターの人もいた。
そのためか、過去の経歴よりも、「今何を学び、これからどうするか」の方が重視されていたように思う。
そして結果として、彼は就職していった。
もちろん、不利だったことは間違いない。
年齢や職歴の面で有利だったとは思わない。
ただ、不利であることと、不可能であることは違う。
私は彼の姿を見て、
「30代後半のフリーターだから終わり」
というわけではないのだと考えるようになった。
少なくとも、私が職業訓練校で見た現実はそうだった。
第1章のポイント
✅ 30代後半フリーターや無職経験者でも、実際に就職していった人はいた
✅ 職業訓練校では、過去の経歴よりも現在の行動を見られる場面もあった
✅ 周囲から特別視されたり、孤立したりしていたわけではなかった
✅ 年齢や職歴の面で不利なのは事実だが、「不利」と「不可能」は違う
✅ 私自身、この経験を通じて「意外と道は残されている」と考えるようになった
第2章 なぜ就職できたのか
理由は一つではない。
ただ、振り返ると大きかったのは職業訓練校という仕組みの存在だったと思う。
当時は、
- 書類選考免除制度
- 未経験者採用
- 人手不足の業界
といった要素が重なっていた。
一般応募であれば、書類選考の段階で不採用になっていた可能性は十分にある。
しかし、職業訓練校を利用することで面接まで進むことができた。
これは非常に大きかったと思う。
また、今振り返ると、彼が就職したこと自体にはそれほど驚いていない。
世間一般では、30代後半で正規雇用経験がなく、フリーターや無職の期間を繰り返していたという経歴は不利に見えると思う。
実際、私も当時は厳しいだろうと考えていた。
しかし、彼には一つ印象に残っている点があった。
人の話をよく聞く人だったことである。
アドバイスを受けた時も、まずは試してみる。
分からないことは素直に聞く。
自分のやり方に固執するというより、良いと思ったことは取り入れてみる。
そうした姿勢があった。
以前紹介した29歳の彼にも、どこか似た部分があったように思う。
もちろん、それだけで就職できたわけではない。
職業訓練校の制度もあった。
人手不足という需給環境もあった。
運もあったと思う。
ただ、そうした機会が目の前に現れた時に、行動できる姿勢は持っていたように見えた。
今となっては、その後の彼がどうなったのかは分からない。
現在も同じ会社で働いているのか、転職したのか、それとも別の道を選んだのかも知らない。
ただ少なくとも、当時の私は、
「30代後半のフリーターだから不可能」
というわけではないことを彼から学んだ。
年齢や経歴は確かに重要である。
しかし、それだけで結果が決まるわけでもない。
職業訓練校という制度を活用し、
自分に合った市場を選び、目の前の機会を活かすことができれば、
不利な状況でも道が開けることはある。
少なくとも、私が見た現実はそうだった。
第2章のポイント
✅ 就職できた理由は一つではなく、複数の要因が重なっていた
✅ 職業訓練校の書類選考免除制度は大きな後押しになった
✅ 未経験採用や人手不足の市場環境も追い風だった
✅ 彼は人の話を聞き、まず試してみる姿勢を持っていた
✅ 不利な状況でも、制度・市場・行動が噛み合えば結果は変わることがある
第3章 能力が高ければ結果が出るわけではなかった
一方で、訓練校には25歳の非正規雇用(転職歴は複数回あり)の人もいた。
学習能力だけで見れば優秀だったと思う。
飲み込みは早く、若さもあった。
真面目で責任感も強かった。
企業側から見ても、こうしたポテンシャルの高い人材を求めることは多いと思う。
実際、訓練校内の能力だけで比較すれば、
私や29歳の彼、30代後半のフリーターの人よりも優秀だったかもしれない。
しかし、結果は単純な能力順にはならなかった。
彼は就職活動において、自分のやり方を最後まで貫いていた。
面接練習も自己流だった。
他者の意見やアドバイスを取り入れることは少なく、
自分の経験や考え方を軸に進めていた。
もちろん、それが悪いというわけではない。
ただ、自分一人の経験だけでは見えないこともある。
何が原因なのか分からなければ、修正も改善も難しくなる。
一方で、
29歳の彼や30代後半フリーターの人は、人の話を聞き、とりあえず試してみる傾向があった。
結果的に、面接の受け答えや考え方が短期間で変わっていった。
彼の場合、最終的には就職していった。
6社受けて1社の内定だった。
一般的に見れば十分な結果だと思う。
しかし、本人としては満足のいく結果ではなかったように見えた。
卒業後も、
「必要なら手伝う」
と伝えたことがあった。
しかし彼は最後までその申し出を受けなかった。
今振り返ると、能力の問題ではなかったように思う。
コミュニケーション能力も高く、人当たりも良かった。
だからこそ、私は不思議だった。
なぜ能力が高い人と、そうではない人で結果が逆転したのか。
その答えを考えていくと、能力だけでは説明できないものが見えてくる。
少なくとも私が職業訓練校で見た現実は、単純な能力順ではなかった。
第3章のポイント
✅学習能力が高くても、結果が能力順になるとは限らない
✅25歳の彼は真面目で優秀な人だった
✅しかし就職活動では自己流を貫いていた
✅他者の視点を取り入れるかどうかで結果が変わることもある
✅能力だけでは説明できない現実があった
第4章 若さは武器になるが、それだけでは決まらない
訓練校には22歳のフリーターもいた。
彼には大きな武器があった。
若さである。
就職活動において、年齢は非常に重要な要素だ。
実際、彼は年齢制限による不利がほとんどなく、就職活動を比較的有利に進めることができたと思う。
職歴がなくても、若さを評価して採用する企業は少なくない。
その意味では、30代後半のフリーターや私たちよりも有利な立場にいた。
そして結果として、彼は大手企業の系列会社へ就職していった。
ただし、私は若さだけで将来が決まるとは思っていない。
どの企業を選ぶのか。
どの業界を選ぶのか。
そして、そこでどのような経験を積んでいくのか。
そうした選択は年齢に関係なく重要である。
また、彼が特別に熱心に就職活動をしていたかというと、必ずしもそうではなかった。
だからこそ感じることがある。
職歴がなくても、年齢が若ければ選択肢は比較的多い。
需給を見ながら業界を選び、
自分に合った市場で戦えば、
それなりの待遇の企業へ就職することは決して難しすぎることではない。
一方で、その後の人生は別の話である。
就職することと、長く働くことは同じではない。
私は以前から、なぜ仕事が続く人と続かない人がいるのかを考えてきた。
その視点で見ると、年齢は入口では有利に働く。
しかし、その後のキャリアは企業選びや本人の考え方によって大きく変わっていくように思う。
第4章のポイント
✅22歳という若さは就職活動において大きな武器だった
✅職歴がなくても、若ければ選択肢は広がりやすい
✅実際に大手企業の系列会社へ就職していった
✅ただし、若さだけで将来が決まるわけではない
✅就職することと、長く働くことは別の問題である
第5章 私が得た結論
職業訓練校で見た現実は、単純な能力順ではなかった。
30代後半のフリーターでも就職していった。
一方で、若くて能力が高い人が必ずしも良い結果になったわけでもなかった。
もちろん、能力は重要である。
私は能力が不要だと言いたいわけではない。
実際、訓練校には私や29歳の彼よりも能力が高そうな人がいた。
30代後半の元管理職経験者もいたし、学習能力の高い若い人もいた。
もし能力だけで結果が決まるのであれば、そうした人たちがもっと結果を出していても不思議ではなかった。
しかし、現実はそうではなかった。
だから私は、結果を分けたのは能力だけではなかったのだと思う。
- 市場選択
- 応募行動
- 考え方
- 姿勢
そうした要素も大きく影響していたように見えた。
また、当時の電気・設備業界や公務員は、WEB系や事務職とは需給環境が異なっていた。
人手不足という追い風もあった。
仮に同じ条件の求人がWEB系や経理職にあれば、倍率はさらに高くなっていた可能性がある。
そう考えると、本記事で紹介した人たちも同じような結果になったとは限らない。
ただ、それでも一つ言えることがある。
不利な状況は確かに存在する。
しかし、不利だからといって不可能とは限らない。
少なくとも、私が見た職業訓練校ではそうだった。
そして、就職できたから終わりでもない。
本当に大切なのは、その後に経験を積み重ねていくことである。
経験を積めば、次の選択肢は増える。
年齢や経歴による不利は、少しずつ小さくなっていく。
私が見た30代後半のフリーターの事例は、その可能性を示していたように思う。
もちろん、私は40代以上の事例を見たわけではない。
そのため、同じことが誰にでも当てはまるとは言えない。
ただ少なくとも、彼らは「やりたいこと」を追いかけたというより、
まずは生活を安定させることを優先していたように見えた。
そして、その選択は決して間違いではなかったと思う。
第5章のポイント
✅30代後半フリーターでも就職した人はいた
✅職業訓練校では過去の経歴だけで全てが決まるわけではなかった
✅若さや能力があっても結果が良くなるとは限らなかった
✅能力だけでなく、市場選択や応募行動も結果に影響していた
✅当時の電気・設備業界や公務員は需給面で追い風があった
✅不利な状況は存在するが、不利と不可能は同じではない
✅就職はゴールではなく、その後の経験の積み重ねが重要である
第6章 資格だけで就職が決まるわけではない
職業訓練校には様々な経歴の人が集まる。
- 転職回数が多い人
- 長期間のブランクがある人
- フリーターや非正規雇用だった人
私が見てきた限り、職歴がきれいな人ばかりではなかった。
資格もほとんど持っていない人が多かったと思う。
一般的な就職活動で有利になる武器を、十分に持っている人ばかりではなかった。
それでも、多くの人は就職していった。
ここでよくある勘違いがある。
それは、
「難関資格を取得すれば就職できる」
という考え方である。
もちろん、資格は有利に働くことがある。
知識や努力の証明にもなる。
書類選考で評価されることもある。
しかし、それだけで採用が決まるわけではない。
最終的に採用を判断するのは企業側である。
資格はあくまで入口の一つであり、面接の機会を得たり、興味を持ってもらったりするきっかけに過ぎない。
実際、職業訓練校では資格を多く持っている人が必ずしも良い結果になったわけではなかった。
一方で、資格が少なくても就職していった人もいた。
だから私は、資格そのものよりも、
- どの市場を選ぶのか
- どの企業に応募するのか
- どのように自分を伝えるのか
- どのような姿勢で行動するのか
といった要素も同じくらい重要だと思っている。
資格は武器になる。
しかし、それだけで戦いが決まるわけではない。
少なくとも、私が職業訓練校で見た現実はそうだった。
補足 就職してからの方が長い
もちろん、就職したからといって全てが上手くいくわけではない。
働き始めれば、不快に感じることや理不尽だと思うことも出てくる。
それは30代後半のフリーターに限らず、多くの人が経験することだと思う。
私自身もそうだった。
- 人間関係
- 組織のルール
- 上司や同僚の言動
思い通りにならないことは少なくない。
ただ、私はそうした時に、自分と他者をできるだけ分けて考えるようにしていた。
相手を変えようとするのではなく、
「なぜこの人はこう考えるのだろう」
と観察する。
そして、自分にとって必要以上に関わらないようにする。
もちろん、いつも上手くできたわけではない。
感情的になることもあった。
それでも、自分がどの方向へ進みたいのかを考えながら、
一日一日を積み重ねることを意識していた。
人生は思い通りにならないことの方が多い。
しかし、自分の進みたい方向だけは見失わないようにする。
遠回りに見えても、それが結果的には近道になるのではないかと思っている。
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