私は30代のとき、まったくの未経験から職業訓練校に通うことを決めました。
きっかけは、「このまま今の仕事を続けても、未来が見えない」と感じたことでした。
それまで働いていた職場では、人間関係、評価制度、キャリアパスのどれを取っても希望が持てず、毎日が“惰性で続く日々”で、努力しても報われない感覚に疲れ果てていました。
ある日ふと、「このまま定年まで同じことを続けるのか?」と自分に問いかけました。
答えはNO(中小零細企業だったので定年まで働ける可能性は万に一つという確率でしたが)。
現状分析をしていると、「やりたいこと」と「できること」は違うことに気づきました。
だからこそ、自分の適性に合った働き方を見つけよう思い、私は職業訓練校への入校を決めました。
訓練校を選んだきっかけは「安定した働き方」を見たこと
転機となったのは、ある知人の働き方を見たときでした。
その人はビル管理(ビルメンテナンス)職として働いており、勤務時間は規則的で残業もほぼなし。
「ブルーカラー=体力勝負」というイメージとはまったく違い、
ワークライフバランスの整った職種でした。
正直、それまでの私は“デスクワークこそ安定”だと思っていました。
しかし、現場で働く人の姿を見て、「こういう安定の形もあるんだ」と考えが変わりました。
その知人は数か月で退職してしまったものの、
「体を壊すほど働かなくても、続けられる仕事はある」
という気づきを得たことが、私にとって大きな収穫でした。
そこで私は、思い切ってブルーカラー系の職業訓練校を選びました。
当時は不安よりも、「新しい環境で学び直せる」という前向きな気持ちが勝っていました。
転職のセオリーからいうと、業界×職種のどちらかを変える軸ずらし転職が一般的ですが、私は両方変えてました。客観的にみて無謀だと思えますが、この選択をしたことは本当に良かったと思います。
30代で「業界も職種も」同時に変えた挑戦
転職活動の鉄則は、「業界」か「職種」のどちらかを変えること。
しかし私は、30代で両方を一度に変えるという、かなり無謀な挑戦を選びました。
理由はシンプルです。
――今の延長線上に未来が見えなかったから。
とはいえ、現実は甘くありません。
この年齢で未経験の転職はハードルが高く、
いきなり応募しても次のような壁にぶつかる可能性が高いと感じていました。
- 書類選考で落とされる
- 給与を大幅に下げられる
- 条件の悪い職場しか選べない
「経験がない」というだけで、選択肢が一気に狭まるのが現実です。
どうしたらこの壁を越えられるかを考えたとき、
私はひとつの答えにたどり着きました。
職業訓練校という“戦略的なワンクッション”
職業訓練校に通えば、採用側の目線が変わるのではないか――そう考えました。
訓練校で専門知識と国家資格を取得すれば、
企業に「学ぶ意欲がある」「基礎を理解している」とアピールできる。
ただ“未経験です”と応募するのとはまったく違います。
「現場で通用する知識を持っている」と示せるだけで、
採用担当者の見方が明確に変わります。
私は、訓練校を単なる“学びの場”ではなく、
キャリアチェンジを成功させるための“準備期間”として位置づけました。
「職業訓練校」は遠回りではなく、最短ルートだった
転職を考えたとき、真っ先に浮かんだのは
「未経験の自分を採用側はどう見るか?」という疑問でした。
社会人経験があっても、異業種へ飛び込むとなると
企業はどうしても“即戦力”を求めます。
だからこそ、訓練校というワンクッションを置くことが合理的でした。
基礎知識や国家資格を得ていれば、
「この人は努力できる」「土台がある」と判断してもらいやすい。
たとえ実務経験がなくても、
訓練校で学んだ内容を自分の言葉で説明できれば、
「育てれば伸びる人材」と見てもらえる可能性が高まります。
焦って未経験で応募するよりも、半年〜1年かけて基礎を固めたほうが、
結果的に転職がスムーズに進みます。
――私はそれを、身をもって実感しました。1年というのは遠回りのようですが、私にとっては近道になりました。
実際に1年通ってみて感じたこと
私が選んだのは1年間の長期コースでした。
通ってみてまず感じたのは、「想像以上に社会的な価値がある場所だ」ということ。
訓練校には、20代の若手から60代の再就職希望者まで、
さまざまな世代・経歴の人たちが通っていました。
「今を変えたい」「もう一度挑戦したい」——
そんな想いを持つ人たちばかりで、教室には独特の熱量がありました。
勉強は決して楽ではありません。
試験もあり、学ぶべきことも多く、手を抜くとすぐ遅れてしまいます。
それでも、目標を持った仲間と学ぶ時間は、私にとって刺激的でした。
何より良かったのは、「立ち止まる時間」を持てたことです。
訓練校入校前は、精神的に消耗していたので自分の精神や考え方を
正常に戻すために必要な時間でした。
焦って転職活動をしていたら、
きっと同じ過ちを繰り返していたと思います。
訓練校で1年間、落ち着いて自分と向き合いながら、
“どんな働き方をしたいのか”“何を大切にしたいのか”を整理できたことが、
後のキャリアの土台になりました。
訓練校で得たものは、知識や資格だけじゃない
もちろん、訓練校では資格も取れます。
私も1年間で複数の資格を取得しました。
ただ、本当に大きかったのは「自己肯定感が戻ったこと」です。
前職では成果を出しても評価されず、
「自分には何もない」と思い込んでいました。
しかし、訓練校で努力した分だけ成果が目に見えることで、
少しずつ自信を取り戻せたのです。
人間関係も穏やかで、励まし合える仲間がいた。
「働く=苦しい」だった自分の価値観が、
「働く=前向きに生きるための手段」に変わりました。
私の中で、職業訓練校に通い始めてから、「自己肯定感が戻ったこと」や「自分の人生を立て直したこと」により達成癖のようなものが身に付き、簡単に諦めなくなったり、自分を客観視できるようになった気がします。
まとめ|職業訓練校は「逃げ」ではなく「準備」
職業訓練校に行くことを「逃げ」と言う人もいます。
ですが、私はそうは思いません。
むしろ、次の挑戦のための“準備期間”だと思っています。
現状に限界を感じたら、一度立ち止まってもいい。
そして、再び前に進むためにスキルを磨けばいい。
職業訓練校は、そんな“やり直し”を支えてくれる仕組みです。
30代から業界も職種も変えた私でも、
計画的に行動することで、
年収・働き方・メンタルすべてが好転しました。
未経験でも、遅すぎることはありません。
「変わりたい」と思ったその瞬間が、
人生を立て直す最初の一歩です。



