【実体験】中小・零細企業の「給与水準」や「福利厚生」はどれくらい違うのか

公務員

「公務員は安定している」とよく言われますが、実際に給与水準や福利厚生の面でどれほど差があるのか気になりませんか?
特に中小・零細企業で働いている方にとっては、転職を考えるうえで非常に重要なポイントです。

私は以前、中小企業で営業職として働き、現在は地方公務員として10年近く勤務しています。
その経験を踏まえ、「公務員と民間企業のリアルな違い」を具体的にお伝えします。


給与の安定性 ― 「昇給ゼロ」から「確実に上がる」安心感へ

民間企業時代、私の給与(平均以下)はほぼ横ばいでした。
業績や上司の一言で昇給が決まるような環境で、どれだけ頑張っても翌年の給与が上がらないこともありました(その場合がほとんどですが)。
ボーナスも業績連動で、「今年は厳しいからカット」と言われるのが当たり前。将来に対する不安は常にありました。

しかし、公務員になってからはその不安が一気に消えました。
公務員の給与は、年功序列と人事評価をベースにした明確な昇給制度です。
昇給額もあらかじめ基準があり、よほどの不祥事がない限り影響を受けることはありません。

一度上がった給与水準は基本的に下がりません。

もちろん、民間企業のように年収が急激に上がることはありませんが、確実に上がり続ける安心感は大きいです。
ボーナスも年2回支給され、景気や経営者の考え方に左右されません。
「安定した給与」というのは、実際に精神的な余裕を生み出す最大の要因だと感じています。


福利厚生の差は歴然 ― 「制度がある」だけでなく「実際に使える」

中小企業で働いていた頃、福利厚生は名ばかりでした。
住宅手当がなかったり、通勤手当の上限が低かったり、制度があっても運用されていないケースが多かったのです。

中小・零細企業では、表面上は制度として存在していても、制度が形骸化しており、利用できないのがほとんどではないでしょうか。

公務員になってまず驚いたのが、制度の「整い方」です。
扶養手当、住居手当、通勤手当、期末勤勉手当 等――どれも明確な基準に基づいて支給されます。

また、体調を崩して長期休暇を取る場合でも「病気休暇」が整備されており、一定期間は給与の80%が支給されます。
私の同僚にも「メンタル不調で休職した人」や「手術により仕事を一時的に離れた人」等がいましたが、復職後もスムーズに職場に戻っていました。

こうした制度が実際に機能している点は、中小・零細企業との大きな違いです。
福利厚生の手厚さが“実際に使えるレベル”で備わっている――これが公務員の強みです。


有給休暇の取りやすさ ― 「罪悪感ゼロ」で休める職場文化

民間企業では、「有給が取れる雰囲気ではない」という話をよく聞きます。
実際、私が以前勤めていた会社では、有給休暇は申請すらしづらく、退職する時以外に使った記憶はありません。

しかし、公務員に転職してからは有給休暇に対する考え方が180度変わりました。
有給休暇は制度としてしっかり管理され、上司も職場も取得を推奨しています。
私自身も初めて年休を100%使い切り、夏季休暇も含めてゆっくり休めました(年間これだけで25日の休日です)。

「休むことが悪」とされていた環境から、「休むことも仕事の一部」という意識に変わったことは、心身の健康にも大きな影響を与えました。
また、子供の看護や介護、出産などに対応できる特別休暇も整っており、ライフイベントに柔軟に対応できるのも魅力です。


雇用の安定性と将来設計 ― 「明日が怖くない」仕事

中小企業にいた頃、業績が悪化すれば、ボーナスカット、昇給停止等というのが現実でした。
努力しても会社の業績次第でどうにもならないといったことが多かったです。そんな理不尽さに疲れたことを今でも覚えています。

一方、公務員には基本的にリストラ(懲戒免職)がありません。
景気が悪くなっても給与が保証され、定年まで安定して働ける仕組みが整っています。

この安定性は、将来設計に大きく関わります。
住宅ローンを組む際も信用度が高く、金融機関の審査もスムーズで、優遇金利が適用されます。
家計の見通しが立てやすいことで、精神的な安心にもつながります。

「明日職を失うかもしれない」という不安がない。
この一点だけでも、公務員に転職して良かったと心から思えます。


「挑戦したい人」には物足りない側面もある

もちろん、公務員にもデメリットはあります。
それは「変化が少ない」「成果主義ではない」ことです。

民間企業のように新しいプロジェクトを提案したり、数字で成果を出して評価される環境を望む人には、物足りないかもしれません。
組織全体が保守的で、スピード感よりも慎重さが重視されます。
「前例がないこと」は敬遠される傾向があり、イノベーションよりも安定を優先する保守的な文化です。

ただ、それも裏を返せば「急な方針転換がない」「ミスを避ける仕組みがある」ということにつながっています。
安定を求める人にとっては理想的な環境だと言えるでしょう。


実際に感じた「生活の変化」

公務員に転職して最も感じたのは、「生活のリズムが整ったこと」です。
定時に帰れる日が増え、平日の夜に趣味や資格の勉強をする余裕ができました。
休日も仕事を持ち帰ることはなく、家族との時間をしっかり取れるようになりました(休日出勤は基本的にないです。あったら確実に休日手当として支払われます)。

経済的にも安定し、長期的な貯蓄や投資(インデックス投資)を計画的に進められるようになりました。
何より、「来年の今頃、自分は何をしているんだろう」という不安がなくなったことが大きな変化です。


まとめ:劇的な昇給はないが、“安定”の価値は大きい

公務員の給与は、爆発的に上がるわけではありません。
しかし、確実に上がり、基本的に下がらない。

公務員は確実に決まった日数は休め、何か不足に事態ががあっても制度により、守られている。
この安心感こそ、民間では得がたい最大のメリットです。

私自身、転職して初めて「有給を堂々と取れる」「ボーナスが確実にもらえる」「体調を崩しても生活が続く」――
そんな当たり前のことに感動しました(特に「入ってすぐに年間20日の有給がもらえたこと」や「入って年の6月に賞与が貰えたこと」に)。

もし今あなたが、中小企業で「将来が見えない」「給料が上がらない」「休めない」と感じているなら、
公務員という選択肢を真剣に検討する価値はあります。

“安定”は退屈ではなく、「人生を長く続けていくための土台」です。
心と時間に余裕がある働き方を求めるなら、公務員は今もなお有効な最強の選択肢の一つだと思います。

今思えば、私はもっと早くに以前働いていた会社に見切りをつけて方向転換をしていれば良かったと思います。

タイトルとURLをコピーしました