【体験談】公務員になって驚いたこと ― 民間とのギャップと働き方の違い

公務員

公務員というと「安定している」「休みが多い」「残業が少ない」といったイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。私は民間企業から地方公務員に転職して10年近くが経ちました。実際に働いてみると、想像していたものとは良い意味でも悪い意味でも違う部分が多くありました。この記事では、私が公務員になって驚いたことをリアルにお伝えします。


残業が少なく、自分の時間が増えた

民間企業時代は、毎月40〜60時間の残業が当たり前でした。仕事が終わるのは夜遅く、帰宅して寝るだけの生活。休日も仕事のことが頭から離れず、心身ともに疲弊していました。しかし、公務員になってからは環境が一変しました。私の所属する部署では、10年近く働いている現在でも合計の残業時間が100時間に届かないほどです。定時で帰るのが普通で、仕事後に資格の勉強や趣味に時間を使えるようになりました。それにより自己成長が達成できています。

もちろん、すべての部署がそうではありません。部署によっては繁忙期に残業が多くなることもあります。それでも、民間企業に比べれば圧倒的に少なく、心身の負担は大きく軽減されると思います。自分の時間を確保できるようになったことで、生活の満足度は格段に上がりました。


職場の雰囲気が穏やかでギスギスしていない

公務員になってまず感じたのは、職場の雰囲気がとても穏やかだということです。民間企業では、営業成績や納期などのプレッシャーが常にあり、社員同士の関係もピリピリしていました。しかし、公務員の職場では、ノルマや売上目標のようなものはありません。お互いが協力しながら仕事を進める文化が根付いており、全体的に落ち着いた空気があります。また働いている人の表情が柔らかいのが入った時に印象的でした。言葉では伝わらないかもしれませんが、入ってみれば分かると思います。

もちろん、どの職場にも合う・合わないはありますし、保守的な面もあります。それでも、基本的には人間関係が安定しており、精神的に追い詰められるような環境ではありません。年齢層も幅広く、20代から60代までの職員が在籍しています。転職組に対しても意外とウェルカムな雰囲気があり、民間での経験を評価してくれる上司や同僚も多くいました。また公務員は法令順守には厳しく、パワハラやセクハラ、サービス残業等は神経をすり減らしている印象があります。


福利厚生の手厚さに驚いた

公務員の大きな魅力の一つが、福利厚生の充実度です。年次有給休暇(年休)はほぼ100%取得でき、夏季休暇や特別休暇も制度としてしっかり整っています。私の職場では、男性職員が半年間の育児休暇を取得するケースも珍しくありません。場合によって1年取得する人もいます。民間時代には「男性が育休なんて無理だろう」「周囲から白い目でみられるのだろう」と思っていたのですが、制度だけでなく実際に利用しやすい環境があることに驚きました。

さらに、病気で長期間休む場合でも給与の80%が支給されます。私の職場の仲間も体調を崩したり、怪我の手術で数カ月休職しましたが、経済的に困ることはなかったと言っていました。安心して休めるという安心感は、働くうえで非常に大きな支えになります。


給与の安定と昇給制度の明確さ

「公務員は給料が安い」と言われることがありますが、実際には長期的に見ると安定感があります。厚生労働省の統計によると、地方公務員の平均年収は約650万円。中小企業の平均年収が400万円前後であることを考えれば、決して低い水準ではありません。昇給も毎年制度的に行われ、ボーナスも景気に左右されにくいのが特徴です。また令和7年度の特別区1類の新規採用だと給与は264,000円/月です。年収ベースで約450万円となります。多少は、経済の状況によっては左右されますが、現在は新規採用でも中小企業の平均年収は超えます。

私が以前働いていた会社では、業績が悪化すると賞与カットや昇給停止が当たり前でした。しかし、公務員は国や自治体の規定に基づいて支給されるため、そのような不安がありません。「安定している」という言葉の本当の意味を、公務員になって初めて実感しました。


デメリットもある ― 保守的で変化に時間がかかる

良い面ばかりではなく、公務員特有のデメリットもあります。最も感じるのは「保守的な文化」です。新しい提案や改善策を出しても、決裁までに時間がかかります。前例がないことを嫌う傾向があり、スピード感を持って動くのは難しいです。民間企業で培った効率化の感覚をそのまま持ち込むと、最初は戸惑うかもしれません。良くも悪くも前例踏襲です。

ただし、慎重であるということは、リスクを最小限に抑える仕組みが徹底しているとも言えます。公共性が高い仕事だからこそ、間違いが許されず、責任の重さも伴います。変化のスピードは遅くても、その分安定した運営ができている理由がここにあります。


公務員になって得た“心の余裕”

公務員になって最も変わったのは、心の余裕ができたことです。民間時代は常に数字や上司の顔色を気にしていましたが、今は自分のペースで仕事に取り組めています。平日の夜には勉強や運動の時間を持ち、休日は家族と過ごす。精神的にも安定し、仕事への意欲も上がりました。ワークライフバランスの整った生活が、結果的に自分の成長にもつながっていると感じます。


公務員転職を考えている人へ

もし今、「転職したいけど年齢的に遅いかも」と悩んでいるなら、挑戦する価値は十分にあります。最近では、社会人経験者を対象とした「経験者採用枠」を設ける自治体が増えています。年齢制限も緩和され、30代でも応募できるケースが珍しくありません。筆記試験よりも面接重視の傾向も強まっており、民間での経験が評価される流れが確実に広がっています。場合によっては40代を過ぎて、経験者として入ってくる人もいます。年齢制限は以前ほど厳しくないのが現状です。

公務員は決して華やかな仕事ではありませんが、安定した給与、手厚い福利厚生、確実に取れる休暇、そして心の余裕があります。もし今の職場で「このままでいいのか」と感じているなら、ぜひ一度、公務員という選択肢を考えてみてください。民間での経験を持つ人こそ、公務員の世界で新しい価値を発揮できるはずです。


公務員の仕事は決して楽ではありませんが、安定した環境で自分の生活を整え、将来を見据えた働き方ができる職業です。私自身、民間から転職して心から良かったと思っています。転職に迷っている人に伝えたいのは、「遅く始めても大丈夫」ということ。安定した仕事を求める人にとって、公務員は今も最強の選択肢だと思います。

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