「公務員=行政職(事務)」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
確かに事務職は最も人気のある職種ですが、実はその陰で“穴場”と呼べる分野が存在します。
それが 技術職 と 業務職 です。
少子化や民間企業との人材争奪により、自治体では技術系・業務職(現場系)の職員が深刻に不足しています。
その結果、採用の門戸が広がり、30代・未経験からでも合格のチャンスがある職種が増えているのです。
この記事では、公務員の「知られざる穴場職種」である技術職・業務職の魅力と、
30代からでも実現できる転職の穴場を紹介します。
技術職が“狙い目”な理由 ― どの自治体も人材不足
公務員の技術職といえば、「電気」「機械」「土木」「建築」などの専門職種。
聞いただけで難しそうに感じるかもしれませんが、実は今この分野が最も採用しやすい穴場になっています。
理由は単純で、どの自治体も慢性的な人手不足だからです。
専門知識が必要なため受験者が少なく、競争率が事務職に比べて圧倒的に低いのです。
例えば特別区(東京23区)では、技術職の受験倍率が1.5倍前後に対して、
事務職では3倍弱です(令和5年度)。
現在は、技術職と事務職の倍率に差はあまりありませんが、
10年以上前では、事務職の倍率は10倍以上あり、技術職が3倍弱で圧倒的に技術職の方が“受かりやすい”状態でした。
また、電気や機械といった理系分野でも、試験問題は意外と基礎的です。
理系出身でなくても、学び直せば十分に対応可能です。また特別区の1次試験の通過率をみると分かりますが、ほとんどが通過しています。要はボーダーラインはかなり低いということです。
一部の自治体では「専門学科卒業」が受験条件になっていることもありますが、
東京都や特別区のように学歴不問(学部の制限なし)で受けられる自治体もあります。
業務職も穴場 ― 35歳まで受験可能な自治体も多い
もう一つの狙い目が 業務職 です。
業務職は、清掃、設備管理、施設運営など、現場での作業を中心とした職種です。
特徴は、年齢制限が比較的ゆるいこと。
自治体によっては「35歳以下」、場合によっては「40歳未満」まで受験可能です。
また、体力や現場経験があれば、営業・製造・サービス業などからのキャリアチェンジも十分に可能。
ただし、業務職の方が行政職よりも給与が低い傾向にあります。
仕事内容は地味に見えますが、地域生活を支える重要な仕事ばかりです。
安定した給与と手厚い福利厚生に加え、定時退勤できる部署も多いので、
「体を動かす仕事が好き」「安定した生活を送りたい」という人には非常に向いています。
事務職も“実は穴場化”している理由
一方で、かつて倍率の高かった行政職(事務)も、実は近年穴場になりつつあります。
背景にあるのは、公務員人気の低下と少子化。
10年前なら10倍以上の倍率だった自治体でも、
今では3〜5倍程度まで下がっているケースもあります。
特に地方では「応募者が定員割れ寸前」という自治体も増えています。
さらに、最近は新卒枠の年齢制限を広げたり、社会人経験者を対象とした「経験者採用枠」を設ける自治体も増加しています。
年齢や経歴で諦める時代ではなくなりました。
「需要>供給」だから今がチャンス
技術職や業務職の採用が拡大している最大の理由は、
民間企業との人材獲得競争にあります。
特に電気・機械・土木といった技術系人材は、民間企業でも人材不足です。
そのため自治体は採用難に直面しており、採用基準を緩和する動きが進んでいます。
実際に、特別区の技術職では以前まで「教養試験+専門試験+小論文」だった一次試験が、
現在は「専門試験のみ」に変更されています。
これは、少しでも多くの受験者を確保するための措置です。
このように、今はまさに「需要>供給」の状態。
30代で未経験でも、対策次第で十分チャンスがあります。
職業訓練校を活用すれば、30代からでも戦える
もしあなたが「未経験だけど技術職を目指したい」と思うなら、
職業訓練校の活用をおすすめします。
訓練校では、電気・機械・建築などの基礎を無料または低コストで学ぶことができます。
未経験であっても、職業訓練校の書類選考免除の求人を活用したりすれば、就職活動は自分自身で行うよりも楽だと思います(全てのコースに書類選考免除求人があるわけではありません)。
さらに訓練期間中に「失業手当」や「職業訓練給付金」が支給される制度もあります。
30代でのキャリアチェンジは勇気が要りますが、
国や自治体のセーフティーネットをうまく使えば、費用を抑えて“安定職”への道を切り開くことができます。
「人気職=安定職」とは限らない
注意したいのは、「人気がある職種=安定している」とは限らないということ。
行政職(事務職)は人気が高い分(倍率は低いですが)、採用後の異動も多い印象です。
一方で、技術職や業務職は勤務地が固定されていることが多く、
地元で長く働けるメリットがあります。
家庭を持つ人にとっても、生活の安定を確保しやすい環境です。
また、現場に近い職種ほど「地域に貢献している実感」を得やすく、
人の役に立つ実感を持てると思います。
今こそ「事務職」以外を選ぶ
公務員=事務職という固定観念にとらわれる必要はありません。
むしろ、今の時代は「事務職以外の道」にこそチャンスがあります。
たとえば、
- 電気・機械・土木などの技術職
- 清掃・施設管理などの業務職
これらの職種の公務員は人気がないですが、長期的な安定が得られる職種です。
またこれらの業種の公務員は、手当が加算されることもありますので、事務職よりはその分の給与が高くなります。
特に30代は、社会人としての経験や責任感が評価されやすく、
人で不足なので、採用される可能性も高くなります。
まとめ:30代・未経験でも公務員になれる時代
かつて公務員試験は年齢制限が厳しく、「若くないと受からない」と思われていました。
しかし、今は状況がまったく違います。
少子化、人材不足、公務員人気の低下――
これらが重なり、今は30代でも十分チャンスがある時代です。
「安定した仕事に就きたい」「手に職をつけたい」「地元で長く働きたい」
そう考えているなら、事務職だけでなく技術職・業務職にも目を向けてみてください。
採用の門戸が広がっている今こそ、行動するタイミングです。
転職市場が動いている“今”を逃さないことが、あなたのキャリアを大きく変える第一歩になるはずです。