「公務員は安定しているから将来も安心」——よく耳にする言葉です。
しかし実際には、安定=豊かではありません。
安定した収入があるからこそ、早いうちに正しい資産形成の戦略を立てることが大切です。
私自身も公務員時代から資産形成を意識して取り組み、失敗と成功を重ねながら実践してきました。
この記事では、その経験をもとに「公務員がやりがちな失敗」と「堅実な資産づくりの考え方」を紹介します。
住宅ローンは慎重に ― 感情ではなく“収支計算”で買う
まず最初に伝えたいのは、多額の住宅ローンは極力避けるべきということです。
公務員は信用が高く、ローン審査が非常に通りやすいため、つい「せっかくだから少し良い家を」と思いがちです。
しかし、住宅ローンは一度組むと30〜35年という長期間、家計を大きく縛る“負債”になります。
もしマイホームを購入するなら、
「住みたい場所」という感情を優先させるよりも「貸せる・売れる資産価値があるか」といった冷静な感情で判断した方が賢明です。
資産性を判断するポイント
- 土地の価値(路線価):市街化区域など将来も需要があるエリアか
- 流動性:売りたいときにすぐ売れるか
- メンテナンスコスト:維持にかかる固定費を把握しているか
特に、市街化調整区域のような土地は将来的な売却が難しく、資産としての流動性が低いため注意が必要です。市街化調整区域は、市街化区域に比べて人気もなく、路線価もないので、銀行から見たら担保評価として評価されないかもしれません。
「住みたいから」という感情で決めると、資産形成のスタートラインでつまずきかねません。毎月の住居費の支払いが15万円の人と5万円の人では資産形成スピードは異なります。
大切なのは、感情ではなく「数字」で判断することです。
人生の考え方はそれぞれですが、収支計算が合うかどうかを最優先に考えましょう。
不動産投資は慎重に ― 公務員だからこその落とし穴
公務員は安定した職業であり、金融機関からの信用度も非常に高いです。
そのため、不動産投資ローンの審査も通りやすく、営業マンからの勧誘を受けやすい立場でもあります。
しかし、今の不動産市場は価格は高騰しており、採算が取りづらい時期です。
加えて、空室リスクや修繕費など、思った以上にコストがかかります。
特に利回りを優先させた物件では、何かしら問題があることも多いので、入居者の質の低下やトラブルリスクもあります。安いにはそれなりの理由があるのです。そして、うまい話が特別に「あなただけ」にいくということはまずないです。
「公務員」という立場上、仕事の合間に入居者対応をするのは現実的ではありません。
どうしても不動産を取り入れたいなら…
もし住宅と投資を組み合わせたいなら、
- 賃貸併用住宅(半分自宅+半分賃貸)
- 土地値の不動産
といった方法が現実的です。
一つ目は、家賃収入でローン返済を一部補いながら、リスクを分散できます。
ただし、入居者は隣に住んでおり、その上でトラブル対応をします(必要があれば管理会社に依頼)。また土地値の不動産というのは必然的にボロい家になります。自分でメンテナンスしながら住めるというのなら、悪くはない選択だと思います。そして、将来的に貸せる金額の返済額にすることです。
“借りられる額”ではなく、“貸せる額”で判断することが重要です。
公務員の王道は「インデックス投資」×「副業の選択」
安定した収入を持つ公務員に最も向いているのは、長期・分散・積立のインデックス投資です。
NISAを活用して堅実に積み立てる
つみたてNISAなどを利用し、毎月一定額をコツコツ積み立てていくのが基本戦略です。
世界の株式市場全体に投資できるインデックスファンドは、個別株と比べて知識や時間がかからず、忙しい公務員にも続けやすい手法です。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)や
「株式投資の未来」(ジェレミー・シーゲル著)、敗者のゲーム(チャールズ・エリス著)などの名著を読むと、インデックス投資の合理性を裏付けるデータが豊富に紹介されています。
これらの本は何度も版を重ねており、ずっと読まれるにはそれなりの理由があるのでお勧めです。
副業は「低リスク・低コスト」で始める
最近では、副業に関心を持つ公務員も増えています。
ただし、公務員には兼業制限があるため、副業可能な範囲を必ず確認しましょう。
まずは、自分の知識や経験、スキルを棚卸しして、それをコンテンツ化してマネタイズ化する方が現実的だと思います。それらを活かした小規模な副業の方が新たに何かを学んで副業としてやるよりも副業の趣旨として合っているような気がします。
また初期投資が少なく、リスクを抑えて始められるものを選ぶのが堅実です。とりあえずやってみてら良いと思います。
収益が増えれば、規模によっては青色申告控除や経費計上も可能になり、
税制上のメリットも得られます。
給与所得以外に稼ぐという経験はサラリーマンをしているだけだと経験できないので積極的にやってみた方が良いと思います(ただし、高額なセミナー等は不要です。Kindleとかで副業に関する書籍を読んで、実践する方が現実的で確実です)。
資産形成の最大の敵は「住宅ローンで自由を失うこと」
多くの公務員が陥る失敗は、「安定しているから」と高額な住宅を購入してしまうことです。
一度住宅ローンに縛られてしまうと、
- 転勤や転職の柔軟性が失われる
- 投資や副業に回せる資金が減る
- 精神的に“守り”に入り、チャンスを逃す
といった悪循環に陥ります。
資産形成の第一歩は、「自由度を失わないこと」。
選択肢を持ち続けることが、最終的な安心と豊かさにつながります。
公務員が実践すべき堅実な資産形成ステップ
最後に、私の経験を踏まえた公務員向けの資産形成の流れをまとめます。
- 固定費を見直し、貯蓄率を上げる
→ 支出管理アプリを活用して“毎月の余力”を可視化 - 住宅ローンは慎重に
→ 感情ではなく数字(返済比率・流動性)で判断 - 投資はインデックスファンド中心に長期積立
→ NISAを活用 - 副業・スキルアップで収入の柱を増やす
→ リスクを抑えて自身の知識・経験を活かしたものから小さく実践 - 将来的には「自由なキャリア形成」へ
→ 資産が増えるほど、心のゆとりが生まれる
まとめ|「安定収入 × 正しい判断」で資産は着実に増やせる
公務員の安定した収入は、資産形成において強力な武器です。
しかし、その安定を過信して無計画に住宅を買ったり、リスクを理解せず投資を始めたりするのは危険です。
- 住宅ローンは慎重に
- 不動産投資は冷静に
- インデックス投資と副業で堅実に積み上げる
この3つを意識するだけで、将来の自由度は大きく変わります。
「安定しているからこそ、自由を守るための選択を」。
これが、私が伝えたい公務員のための堅実な資産形成の本質です。